top of page

​水をください2

2003.11.10

​麻布die pratze

第一幕 

  一場  いざなう

水の中の幽霊
水面に浮かぶ

満ち潮 引き潮
水底の風化下した 白骨粉
私をいざなう 私がいざなう

大田川

​時に重く のしかかり

時にふわりと座してくる

遊戯の続きは延々と

遥か彼方から続いてる

知っているののか

知らぬのか

あなたは今何処にいるのか

  ニ場  原爆の図

真っ白で 何も 見えない

真っ黒で 何も 見えない

焼野原

黒焦げ死体の山

ボロ布のように

垂れ下がった皮膚

突き刺さったガラス片

抜けばドッと血が溢れ出る

一瞬の光 一生の重さ

1945年夏の地獄図

  三場 水をください

わたしの身体に広がってゆく

熱さ 渇き

わたしの心に 染み入る

死者の声たち

「水をください 水を

 水 水 みず

 み ず …………  」

抜け殻の身体 生命の重さ

  四場 原爆孤児

いっしょうけんめい

はたらいて はたらいて

なに食べれるかな

いっしょうけんめい

はたらいてはたらいて

第二幕 

  一場 花ー生と死

重い重い 何が重い

生命が重い

怖い怖い 何が怖い

自分が怖い

逃げないで 避けないで

孤独で死にそうです

誰がこんな姿にしたの

望んでない醜い傷跡

生命はこんなにも重い

それはとてもとても

大切だから

抱えきれない苦しみが

身体からにじみ出る

  ニ場 生命ー

 生まれ生まれず死した子らへ

愛は何処に行ったのか

 

  三場 つらなる

天からお母ちゃんの声

「強く生きるんよ」

幾度も山越えして

見つけた 生命の輝き

生まれ変わる毎に

満ちてくる

愛甘美な子守唄

銃を向ける人も

戦い怒る人も

抱きしめる 聖母の手

その愛の深さ

全てを懐に抱える寛容さ

なにからも解放された 至福感

安らかに安らかに眠る

bottom of page